第9回は前編として、ろうそく職人・吉田さんの、「鶯谷への想い」を語っていただきました。周りの様々な方とのコミュニケーションを大事にしているとの発言にはこちらも頷くばかり。後編となる今回は、根岸に住み続けて早40年の中でも、ろうそく職人としての約20年を振り返ってもらいました。
「最初の頃の仕事を覚えたての時期は、火傷や怪我なんて本当にしょっちゅうでした。うちの店は、昔ながらの和ロウソクではなく洋ロウソクなんですが、成型作業は完全に手作業ですから、やはり慣れるまでは結構大変でしたね。芯の部分は、完全に中心に位置するようにセットしなくてはなりません。」 「型の中に、釜で溶かしたパラフィンなどの原料を流し込みます。固まったら、それを型から抜きます。仕上げは、最初はつながったままの一本を、使うときの長さに合わせて裁断していく作業を最後に行います」 ○Q:ロウソク作りの一番難しいところは 「原料の配分をその日の寒さ・暑さや、季節だったり湿度だったりで、微妙に変えてあるんですね。ロウソクが燃えるときの沸点がそれによって若干ですが異なるので。いつ使っても同じように仕上げるのが、私達の仕事の原点です。」 最後に、最近新しくこの根岸に住むようになった方々への気持ちを聞きました。 「今でもこの界隈にはおでん種の店やお肉屋さん、いろいろな個人のお店が頑張って商売を続けています。そうした代々受け継がれてきた店を守っていく・心を込めて真心を商品の一個一個に入れて『もの』を創ってゆく。それが職人の心意気です。下町に生まれたからにはこういう気持ちは持ち続けていきたいと思っていますよ」(取材を終えて) いつも柔和な表情で、こちらの質問にも笑顔を交えて話してくれました。温厚そうな人柄が取材の間にもそこここに顔を出します。途中でお店にお客様が見えたときも、とても丁寧でなおかつ慇懃にならない細やかな心配りが印象に残りました。 下町の方たちというのは、本当の江戸っ子で、やはり温かい「こころ」のやりとりがいつもされているんだなと感じた一時間でした。 ※さて、初の前後編でお届けした職人の顔に迫るインタビュー。いかがでしたでしょうか。 ところで、読者の方たちには突然な話ですが、この「うぐいすな人」のコーナーは今回をもちまして終了です。 次回からは装いも新たに、新コーナーとして生まれ変わった、インタビュー記事が始まります。ぜひお楽しみに。
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